最近では食品やコスメを始め、さまざまな分野で「有機」「オーガニック」のアイテムが増えています。

ひと昔前は限られた選択肢しかなかったことを思うと嬉しいことですが、選択が増えた分、何から始めるかというのは悩みどころではないでしょうか。

私は、ライターとして活動する以前、オーガニックの食品やコスメ、衣類や雑貨など、幅広いジャンルのオーガニック製品を取り扱う業界で働いた経験があります。

「オーガニック」のアイテムというのは、一般的な商品よりも価格が高い傾向にあり、気になるものをすべてそろえるというわけにもいきません。

そこで考えたいのが、そもそも「有機」「オーガニック」とは何なのか、何のためにそれを選択するのかということです。

この記事では、「有機」「オーガニック」の基本を押さえ、あえてそれらを選ぶ意味というものを考えてみたいと思います。

また、「オーガニック」に興味を持ちはじめたばかりという方向けに、食品やコスメなど、何から選べばよいかというおすすめの順番もご紹介します。

「有機」「オーガニック」の基準

日本では、有機JAS規格を満たす農産物および農産物加工食品について、「オーガニック」「有機」の表示をすることができます。

有機認証は、JAS法により定められており、国が認定した登録認定機関が、事業者からの申請を受けて審査を行い、認定します。

有機認証のない農産物・農産物加工食品が「オーガニック」「有機」の表示をすることはできません。

有機農産物については、次のことが原則とされています(※)。

農業の自然循環機能の維持増進を図るため、化学的に合成された肥料及び農薬の使用を避けることを基本として、土壌の性質に由来する農地の生産力(きのこ類の生産にあっては農林産物に由来する生産力、スプラウト類の生産にあっては種子に由来する生産力を含む。)を発揮させるとともに、農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した栽培管理方法を採用したほ場において生産されること。

上記では少し分かりにくいかもしれませんが、通常の栽培方法と違うポイントとしては、以下のような点があげられます。

  • 化学合成の肥料及び農薬の使用を避ける
  • 土壌そのものが作物を育てる力を活かす
  • 環境負荷を低減した栽培管理方法を採用する

また、生産方法の基準(ポイント)は下記の通り(※)。

  • 堆肥等による土作りを行い、播種・植付け前2年以上及び栽培中に(多年生作物の場合は収穫前3年以上)、原則として化学的肥料及び農薬は使用しないこと
  • 遺伝子組換え種苗は使用しないこと

加工食品の生産方法の基準(ポイント)は下記となります(※)。

  • 化学的に合成された添加物や薬剤の使用は極力避けること
  • 原材料は、水と食塩を除いて、95%以上が有機農産物、有機畜産物又は有機加工食品であること
  • 薬剤により汚染されないよう管理された工場で製造を行うこと
  • 遺伝子組換え技術を使用しないこと

※引用は『有機食品の検査認証制度について 平成30年3月 農林水産省食料産業局』より

日本では、上記の食品以外には、例えば化粧品など「有機」「オーガニック」に関する公的な基準がまだ整備されていない状態です。

そのため、上記以外については、海外の認証に基づいたり、すでにある認証に準じて独自の基準を定めたりした「有機」「オーガニック」の表現となります。

ただし、「有機」「オーガニック」原料を少量使っただけというケースもゼロではないので、注意が必要です。

「ナチュラル」「無農薬」との違い

「オーガニック」「有機」と並んでよく使われる言葉が、「ナチュラル」や「無農薬」です。

日本では、農産物と畜産物、またその加工品に関しては、「オーガニック」「有機」の基準が法律で定められています。

しかし、「ナチュラル」や「無農薬」は、あくまでも生産者や販売者の判断・基準で使われるものとなります。

「ナチュラル」は、化粧品に使われることが多い印象です。

他に、雑貨や衣類などにも使われることがあります。

その意味する幅はとても広く、天然素材を多めに使用しているという程度から、かなり厳密に天然素材のみを使い、化学合成物質などを避けている製品もあります。

そのため、「ナチュラル」という言葉のみで判断するのではなく、製品の原料や製法などをきちんと確認した上で判断する必要があります。

「無農薬」は、文字通り農薬を使用していないことを意味します。

「オーガニック」「有機」の農産物に関して「化学的に合成された肥料及び農薬の使用を避けること」を基本としています。

一方で、「化学的に合成された農薬」でなければ、「有機」として使用を認められている農薬があり、厳密な意味での「無農薬」ではありません。

「無農薬」は、そういった「有機」で認められている農薬も使用していないということを説明したい場合に、使われることが多いようです。

ただ、その基準は生産者や販売者によりけりです。

また、「有機」の場合は、播種・植付け前2年以上及び栽培中に(多年生作物の場合は収穫前3年以上)、原則として化学的肥料及び農薬は使用しない」など生産方法についても細かく定められています。

こういった生産方法についても、「無農薬」という表記では、生産者や販売者によって基準が異なります。

「無農薬」という表記についても、それだけを頼りにするのではなく、実際にどういった場所でどのような方法で生産されたものなのか、確認するようにしましょう。

オーガニックを選ぶ理由


「オーガニック」「有機」というと、何となく体に良いイメージを持っている人が多いのではないでしょうか。

けれども、オーガニックを選ぶ意味というのは、それだけではないと考えています。

とても大きな意味として、より良い地球環境を残す選択になっているのです。

「オーガニック」「有機」の栽培、製造、生産というのは、大きくまとめると、化学的な手法を避け、環境への負荷ができるだけ小さくなるよう、自然の循環に近い手法を採用するものです。

現代社会で主流の非オーガニックの方法は、このまま続ければいずれ限界を迎え、人類だけでなく他の生物も住めない環境に地球を変えていく可能性が高くなっています。

とはいえ、ほとんどの人にとって、現在のやり方をすぐにすべて捨て去るというのも現実的ではないでしょう。

そこでできることとして、「オーガニック」「有機」を選択するということがあります。

ニーズが高まれば、オーガニックの手法を採用する生産者、製造者、企業も増え、社会の仕組みが少しずつでも、より良い地球環境を残す方向へ変わっていく可能性があります。

非オーガニックの手法は、人類に利益をもたらしてくれた面もありますが、今は、それを変えなければいけない時代になっているのではないでしょうか。

オーガニックの製品は、ちょっと高いと感じるかもしれませんが、未来を選択すると考えれば、とても大きな価値があります。

そして、多くの生物を育む、より良い地球環境を残すための手法は、そのまま人にも良い影響をもたらす手法といえます。

非オーガニックの手法は、安価で便利で……というメリットがありますが、それが人の体に害を及ぼしていることも少なくありません。

オーガニックを選ぶ入口は、「自分や家族の健康、美容のため」という、身近なもので良いというものでも良いと思います。

ただそれだけでは、自分に関わりがあると感じる人は限られていますし、続かない場合もあると思っています。

まずは気軽にオーガニック製品の良さを体感して、楽しみながら、それがもっと大きな、より良い未来につながる選択をしているのだと知っていただきたいです。

食べ物、コスメ、日常品まで展開するオーガニック

日本の法律における「オーガニック」は食べ物についてのみ定めていますが(2018年10月時点)、食べ物以外にも、「オーガニック」の製品はたくさん流通しています。

特に女性にとって、「オーガニック」コスメは、食べ物と並んで関心の高い分野ではないでしょうか。

「オーガニック」コスメは、海外のオーガニック認証のあるものもあれば、認証こそないものの、そういった認証に準じた厳しい自社基準を課したものもあります。

現在の日本の法律でははっきりとした基準がないため、基本的には海外の認証を参考にしつつ、各製品の情報をきちんと確認することが大切です。

化粧品は食べ物以上に体質に合う・合わないがあるため、その点も注意しましょう。

また、衣類やその他さまざまな分野で、「オーガニック」の製品は増えています。

体に触れるものは、特に敏感肌の人に「オーガニック」製品が支持されているようです。

妊婦さんや小さな子どもがいる家庭でも、「オーガニック」製品が選ばれる傾向にあります。

海外の認証がある場合は、その基準を確かめることで価値を判断すると良いでしょう。

そうでない場合は、「オーガニック」という言葉だけで判断せず、原材料や製法などをきちんと確認しましょう。

世界と日本のオーガニックの違い

アメリカ合衆国やEUなどは、日本よりも「オーガニック」に関する市場が進んでおり、食品以外にもさまざまな分野の「オーガニック」の認証機関があります。

よく見る海外の認証としては、たとえば、次のようなものがあります。

  • USDA(United States Department of Agriculture):米国農務省の認証。主に農産物や食料品について定めているが、化粧品に関して採用されることもある。
  • ECOCERT(エコサート):フランスの国際有機認証。農産物・加工食品・化粧品・衣類など幅広い分野をカバー。
  • NaTrue(ネイトゥルー):EUの認証。非営利のオーガニックコスメ認証。
  • demeter(デメター):ドイツの認証。農産物に関しては「バイオダイナミック農法」を推奨し、オーガニックよりも厳しい基準。化粧品についても定められている。
  • SoilAssociation:イギリスの認証。植物原料に関する認定に採用されることが多い。

海外の「オーガニック」製品の日本への輸入について、「有機」の認証制度を有する国であり、国家間で有機の認証体制等について「同等性」が認められれば、一方の国の有機認証を他方の国の有機認証と同等のものとして取り扱うことが可能となっています。

日本が有機同等性を承認した国は、(2018年年3月時点)、EU(28か国)、豪州、米国、スイス、アルゼンチン、ニュージーランド、カナダです。

有機/オーガニックは食品が分かりやすい


ここまで説明してきた「有機」「オーガニック」について基本を押さえた上で、最初に採り入れるのなら、食品がおすすめです。

その理由として、日本では食品に関して有機JAS認証があり、基準が分かりやすく、選びやすいからです。

また、体に吸収され、体を作るものとして、食品は優先したいところ。

いくら良いコスメなどを使っていても、食べるものがいい加減だと、健康でキレイな体を作るのは難しくなります。

食品にもさまざまなアイテムがありますが、その中でも最初に採り入れるなら、味噌や醤油など、調理で利用頻度の高い調味料がおすすめです。

オーガニックの調味料は、原材料が厳選されていることはもちろん、発酵や熟成など、本来の時間をかけた製法で作られていることが多いため、味に深みが出ます。

オーガニックのおいしさを知るという意味でも、おすすめと言えます。

使い切るのに時間がかかるため、価格的にもハードルが低いのではないでしょうか。

調味料と合わせて、米や小麦など主食として毎日食べるものも、優先的にオーガニックにすると良いでしょう。

お子さんがいる家庭では、お子さんの口に入るものを優先的にオーガニックにするというのもよく聞きます。

その他、野菜などは好みに応じて、産地や生産者で選ぶなど、バリエーションを楽しみましょう。

関連記事:【各社の宅配野菜を徹底比較!】オイシックス・らでぃっしゅぼーや・大地を守る会・パルシステム・坂ノ途中の特徴をまとめました。

外食が多くても一工夫すれば大丈夫

自炊をあまりしないという場合も、できれば食品のオーガニックを優先してほしいところ。

最近はオーガニック食材をウリにしている飲食店も増えていますし、お弁当・お惣菜屋さんでもオーガニックが選べるところが増えています。

関連記事:午後もはかどる!都内ビジネスエリアのおすすめオーガニック弁当orテイクアウトのできるカフェ・デリ

コンビニでも都市部に積極的に展開しているナチュラルローソンは、オーガニックの選択肢が広く、おすすめです。

また、オーガニックを楽しむという点では、お菓子など間食から採り入れるというのもありかと思いす。

特にチョコレートなどはオーガニックの製品が多く出ており、味はもちろん、選ぶのも楽しいです。

コスメ選びはスキンケアアイテムから

食品以外でもオーガニックのアイテムを試してみたい、メイクが好きという人、肌にトラブルが起こりやすい人などは、オーガニックコスメを採り入れてみると良いでしょう。

その場合、まずスキンケアアイテムから検討してほしいなと思います。

メイクは肌の上に乗せるものですが、スキンケアは肌に浸透させるものなので、体への影響がより大きいからです。

コスメに関しては、日本の法律ではオーガニックを定めるものがないため、海外のオーガニック認証の有無が分かりやすく、参考になる基準です。

海外のブランドはもちろん、日本のブランドでも海外の認証を持っているものはあります。

また、認証はないものの、それに等しい品質のものもあるので、気になるブランドは原材料や製法などをきっちりチェックしてみましょう。

関連記事:
話題の海外オーガニックコスメブランドがすべて分かる!口コミで評判、今後注目のブランドなどまとめてチェック

話題の海外オーガニックコスメブランドがすべて分かる!口コミで評判、今後注目のブランドなどまとめてチェック

せっかくスキンケアをオーガニックにするなら、メイクもオーガニックにしたいという場合は、いろいろと遊んでみて良いのではないかと思います。

最近はオーガニックコスメもカラーやデザインのバリエーションが増えており、オシャレに楽しめます。

衣料や雑貨は+α、ギフトにもおすすめ

衣料や雑貨にも、オーガニックのアイテムは増えていますが、これらは、優先度で言えば、食品やコスメの次に考える感じで良いかなと思います。

ただ、デザインやコンセプトなどが目を惹く、おもしろいアイテムも多いので、オーガニックを楽しむという点で、入りやすいところでもあります。

また、自分ではなかなか買わないものの、貰うと嬉しい、ギフトにおすすめのアイテムも多いので、ギフト選びのときはぜひ検討してほしいカテゴリーです。

ものや、敏感肌の人の衣料などに、オーガニックが選ばれることはよくあります。

無理なく楽しいオーガニックライフを


オーガニックに興味のある方、いろいろ知りたいけど何から始めたら良いか分からないという人は、ぜひ、この記事でお伝えしたことを知っていただければと思います。

オーガニックには法律などによる定義があり、日本では食品に関しては明確に定められています。

一方で、コスメや雑貨に関しては、日本の法律では明確な定義がなく、海外の認証を参考にする必要がある状況です。

そして、そもそもオーガニックを選ぶ意味として、大前提に、環境への負荷を減らし、より良い地球環境を未来に残すということがあります。

そして、たくさんの生物を育む地球環境は、人の健康にも良いものです。

オーガニックについて知り、実感する入口として、「健康や美容のため」があります。

ここ数年でオーガニック製品の選択肢も広がっているので、楽しむことも忘れずに、オーガニック製品を選ぶことの大切さを感じていただければと思います。

 

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農業の自然循環機能の維持増進を図るため、化学的に合成された肥料及び農薬の使用を避けることを基本として、土壌の性質に由来する農地の生産力(きのこ類の生産にあっては農林産物に由来する生産力、スプラウト類の生産にあっては種子に由来する生産力を含む。)を発揮させるとともに、農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した栽培管理方法を採用したほ場において生産されること。 http://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/attach/pdf/yuuki-87.pdf 上記では少し分かりにくいかもしれませんが、通常の栽培方法と違うポイントとしては、以下のような点があげられます。 化学合成の肥料及び農薬の使用を避ける 土壌そのものが作物を育てる力を活かす 環境負荷を低減した栽培管理方法を採用する また、生産方法の基準(ポイント)は下記の通り(※)。 堆肥等による土作りを行い、播種・植付け前2年以上及び栽培中に(多年生作物の場合は収穫前3年以上)、原則として化学的肥料及び農薬は使用しないこと 遺伝子組換え種苗は使用しないこと 加工食品の生産方法の基準(ポイント)は下記となります(※)。 化学的に合成された添加物や薬剤の使用は極力避けること 原材料は、水と食塩を除いて、95%以上が有機農産物、有機畜産物又は有機加工食品であること 薬剤により汚染されないよう管理された工場で製造を行うこと 遺伝子組換え技術を使用しないこと ※引用は『有機食品の検査認証制度について 平成30年3月 農林水産省食料産業局』より 日本では、上記の食品以外には、例えば化粧品など「有機」「オーガニック」に関する公的な基準がまだ整備されていない状態です。 そのため、上記以外については、海外の認証に基づいたり、すでにある認証に準じて独自の基準を定めたりした「有機」「オーガニック」の表現となります。 ただし、「有機」「オーガニック」原料を少量使っただけというケースもゼロではないので、注意が必要です。 「ナチュラル」「無農薬」との違い 「オーガニック」「有機」と並んでよく使われる言葉が、「ナチュラル」や「無農薬」です。 日本では、農産物と畜産物、またその加工品に関しては、「オーガニック」「有機」の基準が法律で定められています。 しかし、「ナチュラル」や「無農薬」は、あくまでも生産者や販売者の判断・基準で使われるものとなります。 「ナチュラル」は、化粧品に使われることが多い印象です。 他に、雑貨や衣類などにも使われることがあります。 その意味する幅はとても広く、天然素材を多めに使用しているという程度から、かなり厳密に天然素材のみを使い、化学合成物質などを避けている製品もあります。 そのため、「ナチュラル」という言葉のみで判断するのではなく、製品の原料や製法などをきちんと確認した上で判断する必要があります。 「無農薬」は、文字通り農薬を使用していないことを意味します。 「オーガニック」「有機」の農産物に関して「化学的に合成された肥料及び農薬の使用を避けること」を基本としています。 一方で、「化学的に合成された農薬」でなければ、「有機」として使用を認められている農薬があり、厳密な意味での「無農薬」ではありません。 「無農薬」は、そういった「有機」で認められている農薬も使用していないということを説明したい場合に、使われることが多いようです。 ただ、その基準は生産者や販売者によりけりです。 また、「有機」の場合は、播種・植付け前2年以上及び栽培中に(多年生作物の場合は収穫前3年以上)、原則として化学的肥料及び農薬は使用しない」など生産方法についても細かく定められています。 こういった生産方法についても、「無農薬」という表記では、生産者や販売者によって基準が異なります。 「無農薬」という表記についても、それだけを頼りにするのではなく、実際にどういった場所でどのような方法で生産されたものなのか、確認するようにしましょう。 オーガニックを選ぶ理由 「オーガニック」「有機」というと、何となく体に良いイメージを持っている人が多いのではないでしょうか。 けれども、オーガニックを選ぶ意味というのは、それだけではないと考えています。 とても大きな意味として、より良い地球環境を残す選択になっているのです。 「オーガニック」「有機」の栽培、製造、生産というのは、大きくまとめると、化学的な手法を避け、環境への負荷ができるだけ小さくなるよう、自然の循環に近い手法を採用するものです。 現代社会で主流の非オーガニックの方法は、このまま続ければいずれ限界を迎え、人類だけでなく他の生物も住めない環境に地球を変えていく可能性が高くなっています。 とはいえ、ほとんどの人にとって、現在のやり方をすぐにすべて捨て去るというのも現実的ではないでしょう。 そこでできることとして、「オーガニック」「有機」を選択するということがあります。 ニーズが高まれば、オーガニックの手法を採用する生産者、製造者、企業も増え、社会の仕組みが少しずつでも、より良い地球環境を残す方向へ変わっていく可能性があります。 非オーガニックの手法は、人類に利益をもたらしてくれた面もありますが、今は、それを変えなければいけない時代になっているのではないでしょうか。 オーガニックの製品は、ちょっと高いと感じるかもしれませんが、未来を選択すると考えれば、とても大きな価値があります。 そして、多くの生物を育む、より良い地球環境を残すための手法は、そのまま人にも良い影響をもたらす手法といえます。 非オーガニックの手法は、安価で便利で……というメリットがありますが、それが人の体に害を及ぼしていることも少なくありません。 オーガニックを選ぶ入口は、「自分や家族の健康、美容のため」という、身近なもので良いというものでも良いと思います。 ただそれだけでは、自分に関わりがあると感じる人は限られていますし、続かない場合もあると思っています。 まずは気軽にオーガニック製品の良さを体感して、楽しみながら、それがもっと大きな、より良い未来につながる選択をしているのだと知っていただきたいです。 食べ物、コスメ、日常品まで展開するオーガニック 日本の法律における「オーガニック」は食べ物についてのみ定めていますが(2018年10月時点)、食べ物以外にも、「オーガニック」の製品はたくさん流通しています。 特に女性にとって、「オーガニック」コスメは、食べ物と並んで関心の高い分野ではないでしょうか。 「オーガニック」コスメは、海外のオーガニック認証のあるものもあれば、認証こそないものの、そういった認証に準じた厳しい自社基準を課したものもあります。 現在の日本の法律でははっきりとした基準がないため、基本的には海外の認証を参考にしつつ、各製品の情報をきちんと確認することが大切です。 化粧品は食べ物以上に体質に合う・合わないがあるため、その点も注意しましょう。 また、衣類やその他さまざまな分野で、「オーガニック」の製品は増えています。 体に触れるものは、特に敏感肌の人に「オーガニック」製品が支持されているようです。 妊婦さんや小さな子どもがいる家庭でも、「オーガニック」製品が選ばれる傾向にあります。 海外の認証がある場合は、その基準を確かめることで価値を判断すると良いでしょう。 そうでない場合は、「オーガニック」という言葉だけで判断せず、原材料や製法などをきちんと確認しましょう。 世界と日本のオーガニックの違い アメリカ合衆国やEUなどは、日本よりも「オーガニック」に関する市場が進んでおり、食品以外にもさまざまな分野の「オーガニック」の認証機関があります。 よく見る海外の認証としては、たとえば、次のようなものがあります。 USDA(United States Department of Agriculture):米国農務省の認証。主に農産物や食料品について定めているが、化粧品に関して採用されることもある。 ECOCERT(エコサート):フランスの国際有機認証。農産物・加工食品・化粧品・衣類など幅広い分野をカバー。 NaTrue(ネイトゥルー):EUの認証。非営利のオーガニックコスメ認証。 demeter(デメター):ドイツの認証。農産物に関しては「バイオダイナミック農法」を推奨し、オーガニックよりも厳しい基準。化粧品についても定められている。 SoilAssociation:イギリスの認証。植物原料に関する認定に採用されることが多い。 海外の「オーガニック」製品の日本への輸入について、「有機」の認証制度を有する国であり、国家間で有機の認証体制等について「同等性」が認められれば、一方の国の有機認証を他方の国の有機認証と同等のものとして取り扱うことが可能となっています。 日本が有機同等性を承認した国は、(2018年年3月時点)、EU(28か国)、豪州、米国、スイス、アルゼンチン、ニュージーランド、カナダです。 有機/オーガニックは食品が分かりやすい ここまで説明してきた「有機」「オーガニック」について基本を押さえた上で、最初に採り入れるのなら、食品がおすすめです。 その理由として、日本では食品に関して有機JAS認証があり、基準が分かりやすく、選びやすいからです。 また、体に吸収され、体を作るものとして、食品は優先したいところ。 いくら良いコスメなどを使っていても、食べるものがいい加減だと、健康でキレイな体を作るのは難しくなります。 食品にもさまざまなアイテムがありますが、その中でも最初に採り入れるなら、味噌や醤油など、調理で利用頻度の高い調味料がおすすめです。 オーガニックの調味料は、原材料が厳選されていることはもちろん、発酵や熟成など、本来の時間をかけた製法で作られていることが多いため、味に深みが出ます。 オーガニックのおいしさを知るという意味でも、おすすめと言えます。 使い切るのに時間がかかるため、価格的にもハードルが低いのではないでしょうか。 調味料と合わせて、米や小麦など主食として毎日食べるものも、優先的にオーガニックにすると良いでしょう。 お子さんがいる家庭では、お子さんの口に入るものを優先的にオーガニックにするというのもよく聞きます。 その他、野菜などは好みに応じて、産地や生産者で選ぶなど、バリエーションを楽しみましょう。 関連記事:【各社の宅配野菜を徹底比較!】オイシックス・らでぃっしゅぼーや・大地を守る会・パルシステム・坂ノ途中の特徴をまとめました。 外食が多くても一工夫すれば大丈夫 自炊をあまりしないという場合も、できれば食品のオーガニックを優先してほしいところ。 最近はオーガニック食材をウリにしている飲食店も増えていますし、お弁当・お惣菜屋さんでもオーガニックが選べるところが増えています。 関連記事:午後もはかどる!都内ビジネスエリアのおすすめオーガニック弁当orテイクアウトのできるカフェ・デリ コンビニでも都市部に積極的に展開しているナチュラルローソンは、オーガニックの選択肢が広く、おすすめです。 また、オーガニックを楽しむという点では、お菓子など間食から採り入れるというのもありかと思いす。 特にチョコレートなどはオーガニックの製品が多く出ており、味はもちろん、選ぶのも楽しいです。 コスメ選びはスキンケアアイテムから 食品以外でもオーガニックのアイテムを試してみたい、メイクが好きという人、肌にトラブルが起こりやすい人などは、オーガニックコスメを採り入れてみると良いでしょう。 その場合、まずスキンケアアイテムから検討してほしいなと思います。 メイクは肌の上に乗せるものですが、スキンケアは肌に浸透させるものなので、体への影響がより大きいからです。 コスメに関しては、日本の法律ではオーガニックを定めるものがないため、海外のオーガニック認証の有無が分かりやすく、参考になる基準です。 海外のブランドはもちろん、日本のブランドでも海外の認証を持っているものはあります。 また、認証はないものの、それに等しい品質のものもあるので、気になるブランドは原材料や製法などをきっちりチェックしてみましょう。 関連記事: 話題の海外オーガニックコスメブランドがすべて分かる!口コミで評判、今後注目のブランドなどまとめてチェック 話題の海外オーガニックコスメブランドがすべて分かる!口コミで評判、今後注目のブランドなどまとめてチェック せっかくスキンケアをオーガニックにするなら、メイクもオーガニックにしたいという場合は、いろいろと遊んでみて良いのではないかと思います。 最近はオーガニックコスメもカラーやデザインのバリエーションが増えており、オシャレに楽しめます。 衣料や雑貨は+α、ギフトにもおすすめ 衣料や雑貨にも、オーガニックのアイテムは増えていますが、これらは、優先度で言えば、食品やコスメの次に考える感じで良いかなと思います。 ただ、デザインやコンセプトなどが目を惹く、おもしろいアイテムも多いので、オーガニックを楽しむという点で、入りやすいところでもあります。 また、自分ではなかなか買わないものの、貰うと嬉しい、ギフトにおすすめのアイテムも多いので、ギフト選びのときはぜひ検討してほしいカテゴリーです。 ものや、敏感肌の人の衣料などに、オーガニックが選ばれることはよくあります。 無理なく楽しいオーガニックライフを オーガニックに興味のある方、いろいろ知りたいけど何から始めたら良いか分からないという人は、ぜひ、この記事でお伝えしたことを知っていただければと思います。 オーガニックには法律などによる定義があり、日本では食品に関しては明確に定められています。 一方で、コスメや雑貨に関しては、日本の法律では明確な定義がなく、海外の認証を参考にする必要がある状況です。 そして、そもそもオーガニックを選ぶ意味として、大前提に、環境への負荷を減らし、より良い地球環境を未来に残すということがあります。 そして、たくさんの生物を育む地球環境は、人の健康にも良いものです。 オーガニックについて知り、実感する入口として、「健康や美容のため」があります。 ここ数年でオーガニック製品の選択肢も広がっているので、楽しむことも忘れずに、オーガニック製品を選ぶことの大切さを感じていただければと思います。オーガニックな暮らしで健康でキレイに

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