こんにちは!

管理栄養士で新米ママのYukineです。

昨年の出産を機に、娘と共に小学生のような規則正しい生活を送る毎日です。

おかげで、心も身体もずいぶん軽やかになり、ライフスタイルもどんどんシンプルに変化してきました。

育児のドタバタにより、ずぼらな性格に拍車がかかっただけかもしれませんが……。

妊娠・出産を通して、自分を見つめなおす機会を得たことで、それまで忙しい生活に追われてぼやけていた「なりたい自分」や「やりたいこと」も自然とわいてくるようになりました。

出産は生まれ変わりのチャンスということを実感する日々です。

そんな私が、妊娠中も産後も1番意識してしているのは食事のこと。

今回はまず、妊娠中の食事のポイントについてご紹介します。

妊娠中の食事は、お産だけでなく産後の状態にも影響します。

ポイントを押さえて、快適なマタニティライフを満喫したいですね!

しっかり摂りたい葉酸・鉄分・カルシウム

葉酸

妊娠中に必要な栄養素として、まずあげられるのが葉酸です。

葉酸はDNAや赤血球、たんぱく質の合成に重要な役割を果たします。

特に、妊娠初期に葉酸を十分に摂取することにより、赤ちゃんの脳や脊髄に障害が生じる「神経管閉鎖障害」の発症リスクを減らせるということが分かっています。

妊娠中の葉酸推奨量は成人女性で480㎍/日です。

これは、非妊娠時の2倍の量です。

—葉酸の多い食品と目安量に含まれる葉酸量—
枝豆       皮つき20個(茹で80g)あたり100㎍ 
アスパラガス    3本(茹で50g)あたり90㎍
ブロッコリー   6房(茹で60g)あたり72㎍ 
ほうれん草    1/2束(茹で60g)あたり66㎍
納豆       1パック(50g)あたり60㎍

————————————————–

緑の野菜に多く含まれる葉酸ですが、葉酸は熱や水に弱い性質があります。

加熱は最小限にし、スープやあんかけなどにして、汁ごと食べると無駄なく摂ることができます。

また、イチゴキウイフルーツなどにも多く含まれているので、果物からとるのもいいですね。

食品のみからの摂取が難しい場合には、サプリメントや補助食品を使用するのもよいと思います。

日本人の食事摂取基準では、妊娠を希望している女性は、食事から240㎍/日の葉酸摂取に加えて、サプリメントから400㎍/日の葉酸摂取を推奨しています。

手軽に摂取できるサプリメントですが、上限量は超えないように気をつけましょう。

葉酸の上限量は、18~29歳で900㎍/日、30~49歳で1000㎍/日となっています。

鉄分


また、妊娠中は鉄分も積極的に摂取する必要があります。

お母さんの血液量が1.5倍に増加することや、赤ちゃんの成長や胎盤に鉄分が必要なためです。

特に、妊娠中期からは赤ちゃんの成長が進むにつれて、ますます鉄分を必要とするため、お母さんは鉄欠乏性貧血に陥りやすくなります。

成人女性の鉄推奨量は10.5mg/日ですが、妊娠中期以降は18~29歳で21mg/日、30~49歳で21.5mg/日の摂取が推奨されています。

—鉄分の多い食品と目安量に含まれる鉄分量—
あさり(水煮缶詰)1/2缶(40g)あたり11.9mg 
高野豆腐     2枚(乾燥32g)あたり2.4mg
しじみ(水煮)  15個(15g)あたり2.2mg
干しエビ     10gあたり1.5mg 
小松菜      1/2束(茹で60g)あたり1.3mg
—————————————————

鉄を効率よく吸収するには、吸収を高めてくれるビタミンCを多く含む食品と一緒にとるのが効果的です。

ビタミンCが多い食材として、ブロッコリー、赤ピーマン、キウイフルーツなどがおすすめです。

妊娠をしていなくても、女性は生理によって鉄分不足になりやすいため、日頃から鉄分摂取を意識できるとよいですね。

カルシウム


そして、カルシウムも意識して摂取したい栄養素のひとつです。

カルシウムは赤ちゃんの骨や歯をつくるのに必要です。

妊娠中は、カルシウムの吸収率が上昇するため付加量は設定されていませんが、これは1日650mgという必要量を満たしている場合です。

実際には、日本人のカルシウム摂取量は慢性的に不足しており、2015年の国民健康栄養調査の結果では、20代女性の平均カルシウム摂取量は427mgとなっています。

—カルシウムの多い食品と目安量に含まれるカルシウム量——-
がんもどき  大1個(100g)あたり270mg
ししゃも   3尾(60g)あたり200mg
モロヘイヤ  1/2袋(茹で60g)あたり100mg
小松菜    1/2袋(茹で60g)あたり90mg
桜えび    3gあたり60mg 
——————————————————————-

カルシウムの多い食品として牛乳があげられることがよくありますが、牛乳に含まれるたんぱく質である「カゼイン」は分解されにくく、腸の炎症やアレルギーを引き起こす可能性があります。

また、牛乳に含まれる糖質である「乳糖」を分解できずに発症する「乳糖不耐症」の心配もあります。

乳糖不耐症は、お腹がゴロゴロしたり、下痢や腹部膨満感などの不快な症状が生じます。

特に、農耕民族だった日本人を含むアジア人は、乳糖分解酵素(ラクターゼ)が欠損している人が多く、8割もの人が乳糖不耐症になる可能性があると言われています。

赤ちゃんの頃には誰にでもある乳糖分解酵素(ラクターゼ)ですが、離乳期から加齢にともなって減少していくため、加齢とともに乳糖不耐症になる可能性は高くなります。

この他にも、搾乳量を増やすために成長ホルモンが与えられていたり、飼料に農薬がまかれていることなどを考えると、カルシウム補給としての牛乳はあまりおすすめできません。

特に、ホルモン剤に関しては、エストロゲンを増やす原因となり、近年増加の一途をたどっている乳がんの引き金になっているとも言われています。

カルシウムの多い食品としてあげた「がんもどき」「ししゃも」「モロヘイヤ」などには、牛乳の2倍以上ものカルシウムが含まれています。

できれば、こういった食品から摂取することをおすすめします。

また、クエン酸やビタミンDを含む食品と組み合わせて食べると、カルシウムを効率よく吸収することができます。

クエン酸は酢やレモン、りんごなどに含まれおり、ビタミンDは干し椎茸キクラゲ、きのこ類などに含まれています。

ビタミンDは、紫外線を浴びることでも体内で生成することができるので、1日30分程度の日光浴もおすすめです。

摂り方に気をつけたい魚類・ビタミンA・塩分・白砂糖

魚類


魚は良質なたんぱく質やカルシウムだけでなく、血管障害の予防やアレルギー反応を抑制するDHAやEPAが豊富に含まれているため、積極的に食べたい食品のひとつです。

しかし妊娠中は、魚の種類と量に少し注意が必要です。

魚には「メチル水銀」という有害金属が含まれるものがあり、赤ちゃんに悪影響を与える可能性があることが指摘されています。

注意が必要な魚には、マカジキ、クロムツ、キンメダイ、本マグロ、メバチなど、食物連鎖の上位に位置する大型の魚があります。

これらの魚を食べるのは、1週間に1回(切身1切れ分)程度にしましょう。

特に注意が必要でないものには、アジ、サバ、イワシ、タイ、サンマなどがあります。

頭から尾の先まで、まるごと食べられる小さな魚は、より安心して食べられます。

また、刺身やお寿司などの生魚には、食中毒を引き起こす細菌が生息していることがあります。

妊娠中は免疫力が低下しやすく、食中毒になるリスクが高くなるため、鮮度が良いものを選び、食べ過ぎには注意しましょう。

ビタミンA


妊娠初期にはビタミンAの摂りすぎにも気をつけましょう。

ビタミンAには粘膜を強く保ち、体の抵抗力を高める働きがあるため、妊娠中にもしっかり摂りたい栄養素ではありますが、妊娠初期の過剰摂取には注意が必要です。

ビタミンAには、主に動物性食品に含まれる「レチノール」と、植物性食品に含まれる「βカロテン」の2種類がありますが、妊娠中に注意したいのは「レチノール」です。

妊娠12週までにレチノールを過剰摂取すると、赤ちゃんの先天奇形のリスクが高くなることが報告されています。

レチノールが多く含まれるレバーやうなぎ、あんこうの肝などは控えたほうがよさそうです。

サプリメントや医薬品から摂取する場合も、上限量の2700㎍RAE/日を超えないように気をつけましょう。

塩分


妊娠中は塩分の摂りすぎにも気をつけたいところです。

塩分の過剰摂取は、むくみや腎臓機能の低下の原因になります。


妊娠高血圧症候群の予防のためにも、妊娠中は薄味を心がけましょう。

塩分摂取量の目安は、一般的には7g/日未満とされています。

薄味で物足りなさを感じる場合は、だしを効かせたり、レモンや酢などの酸味、薬味やスパイスなどを利用すると、満足感のある味付けになると思います。

また、お塩は量だけでなく、質にも意識が向けられるといいですね。

お塩にはたくさんの種類がありますが、大きく分けて「精製塩」「自然塩(天然塩)」があります。

お塩を選ぶときは、ミネラルが豊富な自然塩がおすすめです。

精製塩は、イオン交換膜法という化学的な方法で、不要物をできる限り取り除いて作られます。

この工程で、マグネシウムやカリウム、カルシウムなどのミネラルも一緒に取り除かれてしまうため、成分の99%以上が塩化ナトリウムになってしまいます。

一方、自然塩は、海水を自然乾燥や平釜で煮詰め、濃縮を重ねて作る昔ながらの製法で作られます。

自然塩はミネラルも豊富に含むため、塩辛いだけでなくうまみやコク、まろやかな甘みも感じられます。

ミネラルは生命維持に必要な5大栄養素のひとつで、不足すると体にさまざまな不調が現れます。

特に、精製されたお米や小麦、砂糖などはミネラルが失われていることや、添加物がミネラルの吸収を阻害することなどにより、現代人はミネラル不足に陥りがちです。

毎日の食事に良質なお塩を摂り入れていけるといいですね。

また、加工食品や市販の惣菜、外食などには精製塩が使われていることがほとんどのため、塩分の摂りすぎに気をつけましょう。

【商品名】海の精 あらしお(国産)【価格】600円(税抜)【内容量】240g
公式サイト

 

【商品名】天外天塩【価格】340円(税込)【内容量】1kg
公式サイト

 

【商品名】ぬちまーす うるま【価格】1000円(税抜)【内容量】250g

公式サイト

白砂糖


そして、塩の摂り方とともに気をつけたいのが砂糖の摂り方です。

砂糖にもさまざまな種類がありますが、特に気をつけたいのは精製度の高い「白砂糖」の過剰摂取です。

白砂糖は、さとうきびなどの絞り汁を石灰や亜硫酸、塩素などの薬剤により、精製・漂白して作られます。

白砂糖はビタミンやミネラルが失われているだけでなく、過剰に摂取すると体内のビタミンB1が大量に消費されてしまいます。

ビタミンB群は、脳や神経、皮膚などを健康に保ち、エネルギーをつくり出す代謝にも関わっているため、不足すると肌荒れや不眠、疲れやすくなるなどの問題を引き起こしてしまいます。

また、砂糖のような酸性食品を多くとると、体内では中和しようとアルカリ性であるカルシウムが骨や歯から溶け出してしまうため、骨粗しょう症や虫歯の原因にもなり得ます。

その他にも、血糖値の乱降下による精神の不安定を招いたり、悪玉菌のエサとなり腸内環境の悪化にもつながってしまいます。

さらに、砂糖には気づかないうちに摂りすぎてしまう「潜在性」や、次から次へと甘いものが食べたくなる「習慣性」、同じ量の甘さでは満たされなくなり、どんどん甘みの強いものを求めてしまう「増量性」もあるため、習慣的な摂りすぎには注意が必要です。

とは言っても、妊娠中の食欲は簡単にコントロールできるものではないし、どうしても甘いものが食べたいときってありますよね。

そんな時は、ミネラルが含まれる黒糖メープルシロップなどが使われているお菓子を選んだり、甘酒や、芋類、フルーツなどの自然な甘みを楽しむとよいと思います。

もちろん、たまには食べたいものを食べてもよいと思いますが、日常的な摂りすぎを避けることと、罪悪感をもたずにおいしく食べることが大切だと思います。

妊娠中の間食として、私は、おにぎりやナッツ類、バナナやメープルシロップなどの甘みを使ったお菓子を作ったりして楽しんでいました。

噛む回数を増やすだけでも、甘みを感じられたり、満腹感を得られやすくなりますよ。

また、砂糖のものを食べるときは、誰かとシェアしたり、数日に分けて食べるなど、一度に摂りすぎないようにも気をつけていました。

砂糖はお菓子類以外にも、ケチャップやドレッシングなどの調味料や、飲料など、多くの加工品に使用されているので、いきなり砂糖断ちというのは難しいと思います。

まずは、摂り方に工夫ができるといいですね。

簡単で美味しい!栄養よくばりレシピ

妊娠中、特に意識してとりたい「葉酸」「鉄分」「カルシウム」が豊富な食材を使った簡単レシピを紹介します。

ししゃもとあさりのアクアパッツア

フライパンにすべての材料を入れて、酒蒸しにするだけの簡単アクアパッツァです。

妊娠中に酒蒸しなんて大丈夫? と思われるかもしれませんが、アルコール分は加熱することで飛んでしまうので心配ありません。

少量のお酒でじっくり蒸し焼きにすることで、素材のうまみが引き出され、ブロッコリーの鮮やかな色と歯ごたえも楽しめます。

にんにくやオリーブオイルの香りが苦手な方は、入れなくても大丈夫です。

栄養価(1人あたり)

エネルギー:236kcal
たんぱく質:20.9g
脂質:11.8g
炭水化物:7.5g
葉酸:110㎍
鉄分:5.5mg
カルシウム:370mg

材料(2人分)

ししゃも 8尾
あさり 200g
ブロッコリー 1/2株
ミニトマト 6個
にんにく 1/2片
酒 大さじ3
オリーブオイル 適量
塩 ふたつかみ
コショウ 少々

作り方

1.フライパンにししゃも、塩抜きしたあさり、小房に分けたブロッコリー、ミニトマト、みじん切りにしたにんにく、酒、塩を入れて蓋をし、弱火で5分蒸し焼きにする。

2.あさりの口が開いたらお皿に盛り、オリーブオイル、コショウをかける。

最後に

妊娠中の食事のポイントは、押さえていただけたでしょうか。

正直なところ、私のマタニティライフは、あまりお手本とはいえない生活でした。

特に仕事をしていた8カ月頃までは、つわりのしんどさや、通勤の疲れにより、外食を利用することもしばしば……。

特に意識していた事といえば、白砂糖の摂取を控えること、身体を冷やさないようにすること、適度に歩くことです。

それらが良かったのかは分かりませんが、病院に着いて20分という初産にしては超スピード安産でした。

おかげで、イメージトレーニングまで万全にしていた夫の立会いは間に合いませんでしたが……安産であることに越したことはありませんね!

快適なマタニティライフには、できる範囲でやれることをやって、あとは細かいことは気にせず、おおらかな気持ちで過ごすことが、一番の秘訣かもしれません。

後編はこちら→【管理栄養士監修】マタニティライフを快適に過ごす「食」のすすめ!(後編)マイナートラブルとの付き合い方と簡単レシピ

 

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-------------------------------------------------- 緑の野菜に多く含まれる葉酸ですが、葉酸は熱や水に弱い性質があります。 加熱は最小限にし、スープやあんかけなどにして、汁ごと食べると無駄なく摂ることができます。 また、イチゴやキウイフルーツなどにも多く含まれているので、果物からとるのもいいですね。 食品のみからの摂取が難しい場合には、サプリメントや補助食品を使用するのもよいと思います。 日本人の食事摂取基準では、妊娠を希望している女性は、食事から240㎍/日の葉酸摂取に加えて、サプリメントから400㎍/日の葉酸摂取を推奨しています。 手軽に摂取できるサプリメントですが、上限量は超えないように気をつけましょう。 葉酸の上限量は、18~29歳で900㎍/日、30~49歳で1000㎍/日となっています。 鉄分 また、妊娠中は鉄分も積極的に摂取する必要があります。 お母さんの血液量が1.5倍に増加することや、赤ちゃんの成長や胎盤に鉄分が必要なためです。 特に、妊娠中期からは赤ちゃんの成長が進むにつれて、ますます鉄分を必要とするため、お母さんは鉄欠乏性貧血に陥りやすくなります。 成人女性の鉄推奨量は10.5mg/日ですが、妊娠中期以降は18~29歳で21mg/日、30~49歳で21.5mg/日の摂取が推奨されています。 ---鉄分の多い食品と目安量に含まれる鉄分量--- あさり(水煮缶詰)1/2缶(40g)あたり11.9mg  高野豆腐     2枚(乾燥32g)あたり2.4mg しじみ(水煮)  15個(15g)あたり2.2mg 干しエビ     10gあたり1.5mg  小松菜      1/2束(茹で60g)あたり1.3mg --------------------------------------------------- 鉄を効率よく吸収するには、吸収を高めてくれるビタミンCを多く含む食品と一緒にとるのが効果的です。 ビタミンCが多い食材として、ブロッコリー、赤ピーマン、キウイフルーツなどがおすすめです。 妊娠をしていなくても、女性は生理によって鉄分不足になりやすいため、日頃から鉄分摂取を意識できるとよいですね。 カルシウム そして、カルシウムも意識して摂取したい栄養素のひとつです。 カルシウムは赤ちゃんの骨や歯をつくるのに必要です。 妊娠中は、カルシウムの吸収率が上昇するため付加量は設定されていませんが、これは1日650mgという必要量を満たしている場合です。 実際には、日本人のカルシウム摂取量は慢性的に不足しており、2015年の国民健康栄養調査の結果では、20代女性の平均カルシウム摂取量は427mgとなっています。 ---カルシウムの多い食品と目安量に含まれるカルシウム量------- がんもどき  大1個(100g)あたり270mg ししゃも   3尾(60g)あたり200mg モロヘイヤ  1/2袋(茹で60g)あたり100mg 小松菜    1/2袋(茹で60g)あたり90mg 桜えび    3gあたり60mg  ------------------------------------------------------------------- カルシウムの多い食品として牛乳があげられることがよくありますが、牛乳に含まれるたんぱく質である「カゼイン」は分解されにくく、腸の炎症やアレルギーを引き起こす可能性があります。 また、牛乳に含まれる糖質である「乳糖」を分解できずに発症する「乳糖不耐症」の心配もあります。 乳糖不耐症は、お腹がゴロゴロしたり、下痢や腹部膨満感などの不快な症状が生じます。 特に、農耕民族だった日本人を含むアジア人は、乳糖分解酵素(ラクターゼ)が欠損している人が多く、8割もの人が乳糖不耐症になる可能性があると言われています。 赤ちゃんの頃には誰にでもある乳糖分解酵素(ラクターゼ)ですが、離乳期から加齢にともなって減少していくため、加齢とともに乳糖不耐症になる可能性は高くなります。 この他にも、搾乳量を増やすために成長ホルモンが与えられていたり、飼料に農薬がまかれていることなどを考えると、カルシウム補給としての牛乳はあまりおすすめできません。 特に、ホルモン剤に関しては、エストロゲンを増やす原因となり、近年増加の一途をたどっている乳がんの引き金になっているとも言われています。 カルシウムの多い食品としてあげた「がんもどき」「ししゃも」「モロヘイヤ」などには、牛乳の2倍以上ものカルシウムが含まれています。 できれば、こういった食品から摂取することをおすすめします。 また、クエン酸やビタミンDを含む食品と組み合わせて食べると、カルシウムを効率よく吸収することができます。 クエン酸は酢やレモン、りんごなどに含まれおり、ビタミンDは干し椎茸やキクラゲ、きのこ類などに含まれています。 ビタミンDは、紫外線を浴びることでも体内で生成することができるので、1日30分程度の日光浴もおすすめです。 摂り方に気をつけたい魚類・ビタミンA・塩分・白砂糖 魚類 魚は良質なたんぱく質やカルシウムだけでなく、血管障害の予防やアレルギー反応を抑制するDHAやEPAが豊富に含まれているため、積極的に食べたい食品のひとつです。 しかし妊娠中は、魚の種類と量に少し注意が必要です。 魚には「メチル水銀」という有害金属が含まれるものがあり、赤ちゃんに悪影響を与える可能性があることが指摘されています。 注意が必要な魚には、マカジキ、クロムツ、キンメダイ、本マグロ、メバチなど、食物連鎖の上位に位置する大型の魚があります。 これらの魚を食べるのは、1週間に1回(切身1切れ分)程度にしましょう。 特に注意が必要でないものには、アジ、サバ、イワシ、タイ、サンマなどがあります。 頭から尾の先まで、まるごと食べられる小さな魚は、より安心して食べられます。 また、刺身やお寿司などの生魚には、食中毒を引き起こす細菌が生息していることがあります。 妊娠中は免疫力が低下しやすく、食中毒になるリスクが高くなるため、鮮度が良いものを選び、食べ過ぎには注意しましょう。 ビタミンA 妊娠初期にはビタミンAの摂りすぎにも気をつけましょう。 ビタミンAには粘膜を強く保ち、体の抵抗力を高める働きがあるため、妊娠中にもしっかり摂りたい栄養素ではありますが、妊娠初期の過剰摂取には注意が必要です。 ビタミンAには、主に動物性食品に含まれる「レチノール」と、植物性食品に含まれる「βカロテン」の2種類がありますが、妊娠中に注意したいのは「レチノール」です。 妊娠12週までにレチノールを過剰摂取すると、赤ちゃんの先天奇形のリスクが高くなることが報告されています。 レチノールが多く含まれるレバーやうなぎ、あんこうの肝などは控えたほうがよさそうです。 サプリメントや医薬品から摂取する場合も、上限量の2700㎍RAE/日を超えないように気をつけましょう。 塩分 妊娠中は塩分の摂りすぎにも気をつけたいところです。 塩分の過剰摂取は、むくみや腎臓機能の低下の原因になります。 妊娠高血圧症候群の予防のためにも、妊娠中は薄味を心がけましょう。 塩分摂取量の目安は、一般的には7g/日未満とされています。 薄味で物足りなさを感じる場合は、だしを効かせたり、レモンや酢などの酸味、薬味やスパイスなどを利用すると、満足感のある味付けになると思います。 また、お塩は量だけでなく、質にも意識が向けられるといいですね。 お塩にはたくさんの種類がありますが、大きく分けて「精製塩」と「自然塩(天然塩)」があります。 お塩を選ぶときは、ミネラルが豊富な自然塩がおすすめです。 精製塩は、イオン交換膜法という化学的な方法で、不要物をできる限り取り除いて作られます。 この工程で、マグネシウムやカリウム、カルシウムなどのミネラルも一緒に取り除かれてしまうため、成分の99%以上が塩化ナトリウムになってしまいます。 一方、自然塩は、海水を自然乾燥や平釜で煮詰め、濃縮を重ねて作る昔ながらの製法で作られます。 自然塩はミネラルも豊富に含むため、塩辛いだけでなくうまみやコク、まろやかな甘みも感じられます。 ミネラルは生命維持に必要な5大栄養素のひとつで、不足すると体にさまざまな不調が現れます。 特に、精製されたお米や小麦、砂糖などはミネラルが失われていることや、添加物がミネラルの吸収を阻害することなどにより、現代人はミネラル不足に陥りがちです。 毎日の食事に良質なお塩を摂り入れていけるといいですね。 また、加工食品や市販の惣菜、外食などには精製塩が使われていることがほとんどのため、塩分の摂りすぎに気をつけましょう。 【商品名】海の精 あらしお(国産)【価格】600円(税抜)【内容量】240g 公式サイト   【商品名】天外天塩【価格】340円(税込)【内容量】1kg 公式サイト   【商品名】ぬちまーす うるま【価格】1000円(税抜)【内容量】250g 公式サイト 白砂糖 そして、塩の摂り方とともに気をつけたいのが砂糖の摂り方です。 砂糖にもさまざまな種類がありますが、特に気をつけたいのは精製度の高い「白砂糖」の過剰摂取です。 白砂糖は、さとうきびなどの絞り汁を石灰や亜硫酸、塩素などの薬剤により、精製・漂白して作られます。 白砂糖はビタミンやミネラルが失われているだけでなく、過剰に摂取すると体内のビタミンB1が大量に消費されてしまいます。 ビタミンB群は、脳や神経、皮膚などを健康に保ち、エネルギーをつくり出す代謝にも関わっているため、不足すると肌荒れや不眠、疲れやすくなるなどの問題を引き起こしてしまいます。 また、砂糖のような酸性食品を多くとると、体内では中和しようとアルカリ性であるカルシウムが骨や歯から溶け出してしまうため、骨粗しょう症や虫歯の原因にもなり得ます。 その他にも、血糖値の乱降下による精神の不安定を招いたり、悪玉菌のエサとなり腸内環境の悪化にもつながってしまいます。 さらに、砂糖には気づかないうちに摂りすぎてしまう「潜在性」や、次から次へと甘いものが食べたくなる「習慣性」、同じ量の甘さでは満たされなくなり、どんどん甘みの強いものを求めてしまう「増量性」もあるため、習慣的な摂りすぎには注意が必要です。 とは言っても、妊娠中の食欲は簡単にコントロールできるものではないし、どうしても甘いものが食べたいときってありますよね。 そんな時は、ミネラルが含まれる黒糖やメープルシロップなどが使われているお菓子を選んだり、甘酒や、芋類、フルーツなどの自然な甘みを楽しむとよいと思います。 もちろん、たまには食べたいものを食べてもよいと思いますが、日常的な摂りすぎを避けることと、罪悪感をもたずにおいしく食べることが大切だと思います。 妊娠中の間食として、私は、おにぎりやナッツ類、バナナやメープルシロップなどの甘みを使ったお菓子を作ったりして楽しんでいました。 噛む回数を増やすだけでも、甘みを感じられたり、満腹感を得られやすくなりますよ。 また、砂糖のものを食べるときは、誰かとシェアしたり、数日に分けて食べるなど、一度に摂りすぎないようにも気をつけていました。 砂糖はお菓子類以外にも、ケチャップやドレッシングなどの調味料や、飲料など、多くの加工品に使用されているので、いきなり砂糖断ちというのは難しいと思います。 まずは、摂り方に工夫ができるといいですね。 簡単で美味しい!栄養よくばりレシピ 妊娠中、特に意識してとりたい「葉酸」「鉄分」「カルシウム」が豊富な食材を使った簡単レシピを紹介します。 ししゃもとあさりのアクアパッツア フライパンにすべての材料を入れて、酒蒸しにするだけの簡単アクアパッツァです。 妊娠中に酒蒸しなんて大丈夫? と思われるかもしれませんが、アルコール分は加熱することで飛んでしまうので心配ありません。 少量のお酒でじっくり蒸し焼きにすることで、素材のうまみが引き出され、ブロッコリーの鮮やかな色と歯ごたえも楽しめます。 にんにくやオリーブオイルの香りが苦手な方は、入れなくても大丈夫です。 栄養価(1人あたり) エネルギー:236kcal たんぱく質:20.9g 脂質:11.8g 炭水化物:7.5g 葉酸:110㎍ 鉄分:5.5mg カルシウム:370mg 材料(2人分) ししゃも 8尾 あさり 200g ブロッコリー 1/2株 ミニトマト 6個 にんにく 1/2片 酒 大さじ3 オリーブオイル 適量 塩 ふたつかみ コショウ 少々 作り方 1.フライパンにししゃも、塩抜きしたあさり、小房に分けたブロッコリー、ミニトマト、みじん切りにしたにんにく、酒、塩を入れて蓋をし、弱火で5分蒸し焼きにする。 2.あさりの口が開いたらお皿に盛り、オリーブオイル、コショウをかける。 最後に 妊娠中の食事のポイントは、押さえていただけたでしょうか。 正直なところ、私のマタニティライフは、あまりお手本とはいえない生活でした。 特に仕事をしていた8カ月頃までは、つわりのしんどさや、通勤の疲れにより、外食を利用することもしばしば……。 特に意識していた事といえば、白砂糖の摂取を控えること、身体を冷やさないようにすること、適度に歩くことです。 それらが良かったのかは分かりませんが、病院に着いて20分という初産にしては超スピード安産でした。 おかげで、イメージトレーニングまで万全にしていた夫の立会いは間に合いませんでしたが……安産であることに越したことはありませんね! 快適なマタニティライフには、できる範囲でやれることをやって、あとは細かいことは気にせず、おおらかな気持ちで過ごすことが、一番の秘訣かもしれません。 後編はこちら→【管理栄養士監修】マタニティライフを快適に過ごす「食」のすすめ!(後編)マイナートラブルとの付き合い方と簡単レシピオーガニックな暮らしで健康でキレイに

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